産業廃棄物最終処分場の建設反対を訴える
宇井純氏(右)と土本典昭氏=東京・霞が関
産廃処分場建設 環境相や水俣市長も反対を 水俣病有識者が声明

 水俣市長崎の山間部で計画が進む産業廃棄物最終処分場の建設問題で、水俣病関係の有識者ら五十三人が二十四日、建設に反対するとともに、環境相、知事、水俣市長に反対の意思を明示するよう求める声明を出した。有識者らを代表し、沖縄大名誉教授の宇井純氏と記録映画作家の土本典昭氏が、東京・霞が関の環境省で会見した。

 両氏は「一度、汚染・破壊された自然や生命環境が復元困難なことを、水俣の地はその存在を持って世に警告し続けている」と指摘。建設予定地近くの水源地が汚染される危険性を挙げ、「これまで一手に水銀の毒を背負ってきた市民に、さらに外からの汚染負担を強いることは人道上も大問題だ」と訴えた。

 その上で、小池百合子環境相に対しては「水俣病の教訓をいかし、地域の融和と再生をうたう以上、建設を放置できないはず」と明確な見解表明を要求。潮谷義子知事には「アセスメントの手続きを経てからでは取り返しがつかない」として早期に事業撤退を勧告するよう求めた。江口隆一水俣市長には、反対の意思を鮮明にし、住民や市議会との連携を迫った。

 声明には、作家の石牟礼道子氏や日高六郎氏、熊本学園大の原田正純教授、元熊本大教授の富樫貞夫教授らも名前を連ねた。

 最終処分場は、IWD東亜熊本(本社同市、小林景子社長)が計画。当初、約九十五万平方メートルの敷地に、安定型(埋め立て容積約百九十六万立方メートル)と管理型(同二百三万立方メートル)の処分場を建設する予定だったが、六月に入り、管理型のみにする方針を示している。(亀井宏二)

6/24日熊日記事

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